「いや、悪くはない。むしろこの間のように仲の良い様子を周囲に見せつけてくれれば、こちらとしても守護鬼の伴侶を公表するときに反発が少なくなるので助かる」
この間とは琴子とデヱトしたときのことだろう。
あの日の翌日にも成平に呼び出され、『守護鬼と鬼花が共に街にいた。夫婦を名乗り仲良さげであった』と問い合わせがあったと話をされたのだ。
あのときの琴子の友だろうか。少々強引に引き離してしまい後から反省したのだが、周囲に見せつけても良いというならばこれからもデヱトしてみようと朱縁は思った。
(帰ったら、今度は人気のカフェーにでも行かないかと誘ってみるか)
流行りのものを好む琴子ならば、またあの笑顔を見せて頷いてくれるかもしれない。
心躍りそうな気分で紅茶を飲んでいると、家令が「失礼致します」と近付き成平に何事かを耳打ちした。
途端に焦げ茶の目に真剣さが宿る。
その目を朱縁に向け、成平は良くない知らせを朱縁へと告げた。
「朱縁殿、今すぐ帰った方が良い。あなたの屋敷に勝正と桐矢の若君――琴子の元婚約者が向かったそうだ」
琴子の唇の柔らかさも思い返し、朱縁は思わず口元を緩めた。
「ほうほう、早速惚気か?」
成平がニヤリと笑う。
その顔を見て真顔に戻った朱縁は「悪いか?」と淡々と返した。
この間とは琴子とデヱトしたときのことだろう。
あの日の翌日にも成平に呼び出され、『守護鬼と鬼花が共に街にいた。夫婦を名乗り仲良さげであった』と問い合わせがあったと話をされたのだ。
あのときの琴子の友だろうか。少々強引に引き離してしまい後から反省したのだが、周囲に見せつけても良いというならばこれからもデヱトしてみようと朱縁は思った。
(帰ったら、今度は人気のカフェーにでも行かないかと誘ってみるか)
流行りのものを好む琴子ならば、またあの笑顔を見せて頷いてくれるかもしれない。
心躍りそうな気分で紅茶を飲んでいると、家令が「失礼致します」と近付き成平に何事かを耳打ちした。
途端に焦げ茶の目に真剣さが宿る。
その目を朱縁に向け、成平は良くない知らせを朱縁へと告げた。
「朱縁殿、今すぐ帰った方が良い。あなたの屋敷に勝正と桐矢の若君――琴子の元婚約者が向かったそうだ」
琴子の唇の柔らかさも思い返し、朱縁は思わず口元を緩めた。
「ほうほう、早速惚気か?」
成平がニヤリと笑う。
その顔を見て真顔に戻った朱縁は「悪いか?」と淡々と返した。



