帝都の守護鬼は離縁前提の花嫁を求める

「山茶花の花言葉は『ひたむきな愛』。唯一の伴侶に贈るものとしてもふさわしいだろう」
「……」

 幸せそうに微笑む朱縁に、何故かほんの少しだけ胸が痛んだ。

(その愛は、私が朱縁様と共に生きられる存在だから向けられているもの? それとも、私だからこそ向けてくれているもの?)

 前者に決まっている。
 だというのに、それを悲しく思ってしまうのは何故なのだろう。
 二日前にはじめて会った相手だ。どう思われても気にする必要は無いはずなのに……。

(私、早くも絆されてしまっているのかしら?)

 少なくとも朱縁のことを嫌だとは思っていないことを自覚しながら、琴子は軽く目を伏せた。

 ***

「そういえば今更なのですが……何故私、お店の中にいても大丈夫だったのでしょう?」

 買い物を終え、荷物は後ほど屋敷へ運ぶようにして貰い歩いて帰っている途中だった。
 本当に今更なのだが、疑問に思い朱縁に問い掛ける。
 鬼花は朱縁以外の異性が近付いたり同じ部屋にいると気分が悪くなる。
 鬼花の証でもある紅玉の数珠は琴子の右手首にまだあるため、その呪いは効果を発しているはずだ。
 なのに他の異性も闊歩している街中を歩いたり、異性もいる店の中にいても具合が悪くならなかった。
 何故だろう、と疑問に思うのは当然だろう。

「本当に今更だな」

 クスリと笑われ琴子は恥ずかしくなったが、朱縁は「それだけ楽しかったのだな」と微笑み答えた。