「私の妻に私が近付けるのは当然だろう? それに、私の妖力を込めたこの数珠には呪いがかけてある。他の男が近付かないように、とな」
頬に触れているのとは逆の手が、琴子の右手に触れる。その長い指先で紅玉の数珠を撫でた。
「私の唯一の伴侶になるかもしれない娘がつけるものだ。私以外の男に近付かれるのは癪に障る。……こう見えて、私はかなり独占欲が強いのでな」
「あ、の……」
優しい笑みの中に、僅かな毒が垣間見えて言葉に詰まる。
だが、その毒を覆い隠すような甘さが赤い瞳に宿った。
「琴子……幾星霜の年月、お前をずっと待っていた。……だから、手放すことは出来ない」
「っ」
有無を言わせぬ言葉に琴子は懊悩する。
こちらの要望を聞き入れてくれない朱縁。
人である自分に、長き生を強いる無情な鬼。
だが、朱縁の妖力を受け続けてきたからだろうか?
彼の纏う雰囲気は心地よく、はじめて感じる大きな手に身を預けたくなってしまう。
優しくも強引な鬼だが、琴子は嫌うことが出来なかった。
「だが、だからこそ私は琴子の望むことは叶えてやりたいと思っている。勿論、離縁以外でな?」
最後の言葉をおどけて口にする朱縁に、知らずしていた緊張が解ける。
触れていた手が頬を撫で離れると、そのおどけた調子のままで朱縁はひとつ提案をした。
頬に触れているのとは逆の手が、琴子の右手に触れる。その長い指先で紅玉の数珠を撫でた。
「私の唯一の伴侶になるかもしれない娘がつけるものだ。私以外の男に近付かれるのは癪に障る。……こう見えて、私はかなり独占欲が強いのでな」
「あ、の……」
優しい笑みの中に、僅かな毒が垣間見えて言葉に詰まる。
だが、その毒を覆い隠すような甘さが赤い瞳に宿った。
「琴子……幾星霜の年月、お前をずっと待っていた。……だから、手放すことは出来ない」
「っ」
有無を言わせぬ言葉に琴子は懊悩する。
こちらの要望を聞き入れてくれない朱縁。
人である自分に、長き生を強いる無情な鬼。
だが、朱縁の妖力を受け続けてきたからだろうか?
彼の纏う雰囲気は心地よく、はじめて感じる大きな手に身を預けたくなってしまう。
優しくも強引な鬼だが、琴子は嫌うことが出来なかった。
「だが、だからこそ私は琴子の望むことは叶えてやりたいと思っている。勿論、離縁以外でな?」
最後の言葉をおどけて口にする朱縁に、知らずしていた緊張が解ける。
触れていた手が頬を撫で離れると、そのおどけた調子のままで朱縁はひとつ提案をした。



