帝都の守護鬼は離縁前提の花嫁を求める

「そして、長き時が経ってもそのような存在は見つからずほとんど諦めていたのだ……」

 感情が抜け落ちた様な、昏い目をした朱縁が視線を下げる。
 だが、その無機質な瞳に光が差し、喜びに溢れた紅玉が琴子を映した。

「だが、見つかった。琴子ならば私と共に生きることが出来る。ずっと、私の側にいてくれ」

 優しく、愛おしむような微笑みに琴子は思わずドキリとする。
 朱縁がどれほどの寂しさを抱え、長い時を生きてきたのかは分からない。
 それでも、彼の喜びようからその寂寞の欠片くらいは理解出来た。

(なんだか……切なくて苦しい)

 泣きたくなるような思いに、胸が締め付けられる。
 だが、だからといって簡単には頷けない。
 朱縁の話が全て事実なら、自分は朱縁と共にずっと生き続けなければならないということだ。
 朱縁は自分を大事にしてくれそうではあるが、これから共に長い生を送るとなると想像もつかない。
 琴子は畳を見つめ惑い、とりあえず疑問に思ったことを聞くことにした。

「その、一つ疑問なのですが……今までの鬼花が極端に長寿だったとは聞いたことがありません。本当に朱縁様の妖力を得れば寿命が延びるのですか?」

 朱縁の妖力を受けた者の寿命が延びるのならば、今までの鬼花は皆長寿のはずだ。
 だが、そのような話は聞いたことが無い。
 琴子の問いに、朱縁は二度ほど瞬きしてから「ああ」と少々皮肉げな笑みを浮かべた。