帝都の守護鬼は離縁前提の花嫁を求める

「ですがその、私には強い異能持ちを産み育てるという役目が――」
「それは私が伴侶を得るために妖力を与えたことで派生した副産物としての役目であろう?」
「え?」

 どういうことなのか。
 すぐに理解できなかった琴子は目をぱちくりと瞬かせる。

「はじめから話した方が良いだろうな」

 そう言った朱縁は、遙か遠くを眺めるような目をして昔語りをした。


 太古の昔、いつかも忘れてしまう頃朱縁は生まれた。
 最強の鬼としてあやかしの頂点に立ったこともあれば、気の良い友と遊び暮らしていたこともあったとか。
 そうして過ごしていても、周囲の者は先にいなくなってしまう。
 長き時を生きるあやかしですら、朱縁と共にはいられなかった。
 寂寞(せきばく)の思いに耐えきれなくなった朱縁は、長き生を共に生きられる存在を探すことにした。
 とはいえ同じ存在などそれまで生きてきた中でも聞いたことが無い。
 だから作り出すことにした。朱縁の妖力を受けた者は寿命が延びると分かっていたから。
 だが、同じあやかしでは妖力が反発し合いちゃんと受け取ることが出来ない。
 だから人間から選ぶしか無かったが、長い時を生きることが出来るほどに妖力を受け続けるにはそれ相応の肉体が必要だった。
 そのような肉体を持つ者がいるかどうかも分からない。
 だが、一度自覚した寂しさは消えるどころか増すばかり。
 それ故朱縁は賭けに出ることにした。
 一人の人間に数年の時をかけて妖力を流し込み、その後も朱縁の妖力を受け続けることが出来る存在を探し出そうと。
 そのために人の帝と契約し、花嫁を得ていたのだと。