帝都の守護鬼は離縁前提の花嫁を求める

「ついに見つかりました! 朱縁様の唯一の伴侶であらせられる方が!」
「それが私、と?」
「はい!」

 外見は落ち着いた雰囲気なのに、子供のように喜ぶ利津。
 そんな利津に伝えるのは心苦しかったが、言わねばならないだろう。

「でも、私はやはり離縁しなければならないわ。離縁して、異能持ちの家に嫁ぎ子を産まねば……」

 今までそう言い聞かせられてきたし、そうして強い異能持ちを世に送り出すのが櫻井の長女の役目だ。
 自分だけがその役目を放り出す訳にはいかないだろう。

「は……?」

 だが、利津は理解に苦しむといった様子で固まってしまった。

「……何やら、長い年月で色々と齟齬が出てしまっているようですね」

 冷静に、淡々と告げた利津は「それでも」と念を押してくる。

「本来の目的が朱縁様の唯一の伴侶を探すためですので、離縁は出来ません」
「でも……」
「それでも離縁したいとおっしゃるのでしたら、明日直接朱縁様にお話下さいませ」

 役目を放り出す訳にはいかないと訴えようとする琴子に、利津は有無を言わせぬ語調で告げた。