結局あまりよく眠れないまま朝が来た。
なんとなく切神の横で眠るのが嫌で、雨戸を閉めて廊下で横になってしまった。

幸い火が近くにいてくれたので寒さは感じなかった。
が、床に直接寝たことで体が痛くなっている。

「どうして布団に入らなかった」
朝食の場で切神が顔をしかめて聞いてきた。

「外の景色を見ていたかったんです」
薫子は咄嗟の嘘をつく。

「雨戸を閉めていては外の景色は見えないはずだが」
そう指摘されて言葉に詰まる。

今日も食欲はなくて目の前の朝食は手つかずだ。
切神は大きなため息を吐き出した「まだあの兄弟のことを気にしているのか」と、質問した。
薫子はうつむいたまま答えない。