クール天狗の溺愛♡事情

 でも、そんな思いは無駄に終わる。

「見つけたぞ!」

 同じく校庭に出てきた煉先輩に早くも見つかってしまった。


「えー? いくら何でも見つけるの早くないかい?」

 特に焦りもせずに文句を言う山里先輩。

 そんな彼に煉先輩は得意げに話した。


「お前らは揃って霊力高いからな。集中すれば学校敷地内のどこにいるかくらいは分かるんだぜ?」

 つまり、煉先輩は大きな霊力をたどってわたしたちを見つけたと。


 もしかして、帰り際時間をずらしていても毎日遭遇するのはそのせいだったのかな?


「とにかく那岐、美沙都をよこせ。そいつは俺のだ」

「嫌だって言ったら?」

「そりゃあ、力づくでいかせてもらうぜ?」

 そう言うと、煉先輩の目が燃えるように赤く染まった。

 そして髪の付け根から色が変わっていき、髪も真っ赤に染まる。


 わたしは言葉も出せずその変化に目が釘付けになっていた。


 最後に額に二本の赤い角が生えた煉先輩は、紛れもなく鬼。

 その姿だけでも力を感じて、元々イケメンだった顔に美しさが加わった気がする。


「へぇ、それが火鬼の変転(へんてん)した姿か。初めて見たよ」

「変転?」

 聞き慣れない言葉に首を傾げると、山里先輩が説明してくれる。