コタちゃんは丁度煉先輩の後ろに立っていた山里先輩の肩に着地する。
その山里先輩は微笑みながら「仕方ないな」とつぶやくと、手のひらに真っ白な炎を出現させた。
なんだろう?
山里先輩の力みたいだけれど、その炎は熱を感じさせない。
不思議に思っていると、炎は山里先輩の手の上で揺らめき霧のように散った。
「え?」
何が起こったのかと瞬きすると、わたしの腕を掴んでいた煉先輩の手がズルリと落ちる。
見ると、煉先輩はボーッとして突っ立っていた。
ううん、煉先輩だけじゃない。
仁菜ちゃんも、周囲にいる他の人たちも同じようにボーッと立っている。
「え? ど、どうしたの? 仁菜ちゃん?」
「瀬里さん、今のうちに逃げよう」
仁菜ちゃんの肩を掴んで揺すっていると、山里先輩に腕を引かれた。
「え? でも仁菜ちゃんが――」
「大丈夫」
困惑するわたしに、山里先輩は安心させるように優しく頬笑む。
「幻術を使っただけだよ。今はみんな幻を見てるだけ。じき、元に戻るから」
「幻術?」
よくは分からないけれど、山里先輩がみんなに酷いことをするとも思えない。
彼の言う通り多分大丈夫なんだろう。
その山里先輩は微笑みながら「仕方ないな」とつぶやくと、手のひらに真っ白な炎を出現させた。
なんだろう?
山里先輩の力みたいだけれど、その炎は熱を感じさせない。
不思議に思っていると、炎は山里先輩の手の上で揺らめき霧のように散った。
「え?」
何が起こったのかと瞬きすると、わたしの腕を掴んでいた煉先輩の手がズルリと落ちる。
見ると、煉先輩はボーッとして突っ立っていた。
ううん、煉先輩だけじゃない。
仁菜ちゃんも、周囲にいる他の人たちも同じようにボーッと立っている。
「え? ど、どうしたの? 仁菜ちゃん?」
「瀬里さん、今のうちに逃げよう」
仁菜ちゃんの肩を掴んで揺すっていると、山里先輩に腕を引かれた。
「え? でも仁菜ちゃんが――」
「大丈夫」
困惑するわたしに、山里先輩は安心させるように優しく頬笑む。
「幻術を使っただけだよ。今はみんな幻を見てるだけ。じき、元に戻るから」
「幻術?」
よくは分からないけれど、山里先輩がみんなに酷いことをするとも思えない。
彼の言う通り多分大丈夫なんだろう。



