本来のサトリは人の心の声が聞こえるみたいだから、わたしの能力は本来の力よりは劣っているんだよね。

 まあ、それで困ったことは特にないけれど。


 その人その人の本質を表す色とりどりの球。

 嫉妬だとか、嫌悪だとか、負の感情が現れる場合は球をモヤみたいなものが覆っているんだけれど……。

「……うん、大丈夫だよ。あの人たちはむしろ憧れて見てるだけみたい」

 球にはモヤのようなものは見えない。

 むしろ好意を示す光を放っている。

 黄色に近いオレンジ色の光は憧れの色。

 特別だっていう山里先輩と日宮先輩に憧れて声をかけてみたいとか思ってるだけなんじゃないかな?


「そうなんだ、良かったー」

 そうして安心した彼女たちはまた窓の外の二人を見ながらワイワイ話し始めた。

「三人の中だったら誰が一番かなぁ? あたしは(はかな)げな美しさのある山里先輩が好みなんだよねー」

「えー? 確かにキレイだしカッコイイけど弱々しい感じがするじゃん。あたしは断然日宮先輩だなぁ。俺様タイプだけど、その分強そうだし。実際に最強の鬼の一族だもんね」

「あんたは強い男子が好きってだけでしょう? なんだかんだ言って滝柳先輩が一番だよ! なんたって山の神直々に霊力を分け与えられたあやかしだもん!」


 みんなの話を聞きながら、やっぱり風雅先輩って人気あるんだなぁって思う。

「でも滝柳先輩ってクールっていうか、そっけないっていうか。笑った顔とか見たことないんだけど」

「もう、そういうところがまたいいんじゃない!」

「……」


 その会話を聞いてわたしは思わず黙り込む。