「……そうだな。前まではそこまで気にしてなかったんだけど、今は本当に大事な使命だと思ってるよ」

 そう言ってわたしの頭を撫でてくれる風雅先輩。

 この手は、やっぱり小動物扱いしてるからなのかな?

 そう思うと、またツキンと胸が痛んだ。


 これは、もう自覚するしかない。


 煉先輩や山里先輩のことでは何を言われても気にならなかったのに、風雅先輩のことだけは言葉の一つ一つが胸に突き刺さってきた。

 風雅先輩には大事な使命があると聞いて、寂しい気持ちになった。
 ……多分それは、わたしよりも大事なものだから。


 今までは、優しくしてくれるのも特別扱いしてくれるのも、小動物か子ども扱いをして可愛がってくれているだけだと思ってた。

 ……思い込もうとしてた。


 でも、そういう扱いをされるのは苦しいって、今はもう心が痛みをうったえてくる。

 だから、自覚するしかないんだ。



 わたしは、風雅先輩が好き。


 風雅先輩の優しさがわたしの勘違いだったとしても。
 大事な使命があって、わたしよりもそっちを優先したとしても。

 風雅先輩にとって、一番の女の子じゃなかったとしても。


 それでも、わたしは風雅先輩が好き。


 その気持ちだけは、もう変えようがないところまできてしまった。

 だから、胸の痛みを感じつつも今はこの温かい手に甘える。


 甘えて、目を閉じて……そのままわたしは眠りに落ちた。