ガラッと、風雅先輩の力なのか風が吹いたと思ったら保健室のドアが勝手に開いた。

「失礼します」

 断りを入れて保健室の中に入った風雅先輩だったけれど、保健室の先生は不在だったみたいで返事はない。


 ベッドのカーテンも全て空いていて、本当に誰もいない。

 風雅先輩は風の力でドアを閉め、手前のベッドに近づくとわたしをゆっくり下ろしてくれた。


「……美沙都、大丈夫か? ごめんな、駆け付けるのが遅くなって」

「そんな……風雅先輩が、謝ることじゃ……」

 横になれて少し楽になったわたしはゆっくりとだけれど話す。

 本当に申し訳なさそうな顔をする風雅先輩に、逆にこっちが申し訳なくなった。


「本当に何もされてないのか? ならどうしてこんなに具合が悪そうなんだ?」

 上履きを脱がせて布団をかけてくれながら、心配される。

 本当に色々と申し訳ない。


 少し迷ったけれど、ちゃんと話さないともっと心配をかけてしまうかもしれないと思って全部話した。


 彼女たちはわたしのことをあまり良くは思っていないけれど、本当に話をするだけのつもりだったこと。

 無意識に感情が流れ込んできて、わたしが勝手に具合が悪くなったことを。