「日宮先輩は霊力とかあやかしの気配とか、そういうのを感じ取るのが得意みたいだから間違ってるとも思えないけど……」

 そうつぶやいて風雅先輩はわたしをジッと見る。

 見定められているような目に少し緊張したけれど、すぐに困り笑顔になったのでわたしも力を抜く。


「やっぱり俺には分からないな。俺は守るための戦闘とかに特化してるから……」

「そうなんですか?」

「ああ、元々カラス天狗は戦ったりする方が得意だし。山の神が霊力を与えてくれたのは守りの力を追加するためって感じだったし」

「へぇ……」

 そういえばさっきも煉先輩は風雅先輩のことを山の神の護衛って言っていたっけ。

 山の神を守る存在ってことなのかな?


「ってことで美沙都の霊力が本当に高いかどうかは分からないな」

 と、少し申し訳なさそうに言った風雅先輩に、わたしは「いいえ」と首を横に振った。

「きっと煉先輩の勘違いですよ。わたしの力は人それぞれの色の《感情の球》がどんな色を帯びるかで感情の変化を読み取るだけのものです。読み間違えることもあるし、やっぱり普通のサトリよりも劣ってると思うし」

 自分で改めて口にすると本当に使えない力だなぁって思う。

 本来のサトリなら言葉で聞こえてくるから間違えるってこともないし。

 読み間違えるなら意味がないよなぁって思っちゃう。