「そうしてイライラしていたところにさっきの日宮先輩だろ? 怒りを耐えるのが精一杯だった」

 そのまま強引に引っ張ってきて悪かったな、と謝ってくれる。

「いえ、それは……大丈夫なんですけど……」

 どうしてさっきの煉先輩に怒っていたんですか?

 その疑問も、喉の奥で止まる。


 聞いて、もし期待していたものとは違ったら?

 違っていなくても、変な風に誤解してしまったら?


 そんな思いが頭を()ぎる。

 心は熱が灯って今もドキドキしているのに、その気持ちの行きつく先を確かめるのが怖い。

 だから、そのための言葉が出てこなかった。


「それにしてもどうして日宮先輩に嫁なんて言われてたんだ? 日宮先輩は霊力の高い女子を探してるはずだろ?」

 わたしが何も言えないでいると、その疑問を投げ掛けられる。

「それは……わたしにもどうしてなのか分からないんですけど……」

 そのことに関しては未だに理由がハッキリしない。

 わたしは眉尻を下げて昨日あったことを一通り話した。

***

「美沙都の霊力が高い……か」

「はい。わたしはサトリだし、力だって感情が見えるだけだし……そんなことあるわけないと思うんですけど……」

 最終的には相談という形になって話を終える。