「あ、あの! 風雅先輩!? ちょっと、待ってください!」
足早に歩く風雅先輩について行くのが少し大変で、一度止まって貰えるように声を掛ける。
「どうしたんですか? 突然送ってくれるなんて……」
戸惑いを言葉にすると、ずっと無言で歩いていた風雅先輩はハッとして歩く速度を緩めてくれた。
眉をハの字にして「悪い」とわたしの顔を見て言う。
「ちょっと、余裕なくしてた」
「え?」
つないでいる手も優しく握りなおし、いつもの優しい眼差しになった風雅先輩。
その途端、戸惑いばかりだったわたしの心に熱が灯る。
トクトクと、鼓動が早まった。
「なんか、さ。美沙都と那岐が付き合ってるみたいな噂が聞こえてきて……イライラしてたんだ」
「な!? つ、付き合ってないです!」
その噂がもう風雅先輩にまで聞こえているなんて。
誤解されたくなくてすぐに否定した。
「ああ。ただの噂だから、きっと違うだろうなってのは分かってたんだけど……でも、嫌だったんだ」
「え?」
どうして、嫌だったんですか?
その疑問は、声に出そうとしてやめた。
何かを期待している自分に気づいたから……。
そうして言葉を詰まらせている間にも風雅先輩は話しを続ける。
足早に歩く風雅先輩について行くのが少し大変で、一度止まって貰えるように声を掛ける。
「どうしたんですか? 突然送ってくれるなんて……」
戸惑いを言葉にすると、ずっと無言で歩いていた風雅先輩はハッとして歩く速度を緩めてくれた。
眉をハの字にして「悪い」とわたしの顔を見て言う。
「ちょっと、余裕なくしてた」
「え?」
つないでいる手も優しく握りなおし、いつもの優しい眼差しになった風雅先輩。
その途端、戸惑いばかりだったわたしの心に熱が灯る。
トクトクと、鼓動が早まった。
「なんか、さ。美沙都と那岐が付き合ってるみたいな噂が聞こえてきて……イライラしてたんだ」
「な!? つ、付き合ってないです!」
その噂がもう風雅先輩にまで聞こえているなんて。
誤解されたくなくてすぐに否定した。
「ああ。ただの噂だから、きっと違うだろうなってのは分かってたんだけど……でも、嫌だったんだ」
「え?」
どうして、嫌だったんですか?
その疑問は、声に出そうとしてやめた。
何かを期待している自分に気づいたから……。
そうして言葉を詰まらせている間にも風雅先輩は話しを続ける。