それに、やっぱり黄色みが強いオレンジ色は楽しそうな、面白そうなものに見えた。


 ……うん、やっぱり煉先輩はわたしを本気で好きだと思ってるわけじゃない。

 そう確信したわたしは、《感情の球》を見るのをやめてハッキリと言う。

「わたし、嫁に行くならちゃんとわたしを好きになってくれている人の所に行きたいです! そんな面白そうって思ってるだけの人の所には行きません!」


 強引な煉先輩には多分これくらいハッキリ言わないと伝わらない。

 怖い煉先輩に言うのは勇気がいったけれど、風雅先輩が近くにいたからかいつもより少し強気になれた。


 わたしの言葉を聞いた煉先輩は目を丸く見開く。

「俺の嫁にしてやるって言って、断られたのなんか初めてだ……」

 驚いたようにつぶやいた煉先輩は、今度はとても楽しそうな笑顔になる。


「面白れぇ。それならちゃんと俺を好きにさせてみるから、覚悟しとけよ?」

「……え?」

 あれ? ちゃんと断ったはずなのに、なんでもっと興味持たれてるの?

 しかもちゃんとわたしを好きになってくれる人が良いって言ったよね?

 どうして好きにさせるって話になるの?

 疑問が次々湧いてきてどれから聞けばいいのか分からない。


「まあ、今日は引いてやるよ。俺、上履きのままだしな」

 戸惑うわたしと無言の風雅先輩を残して、煉先輩は「またな」と生徒玄関の方へ戻っていった。