後からおじいちゃんが教えてくれた。

 駅前は日宮家が出資して開発してくれているから人間の街の様に栄えてるんだって。

 山の神が守るこの里を好き勝手にされたく無い里の人達も、結界の外ならということで了承したんだとか。

 そんなわけで、主に里の若者たちは結構駅前に行っては遊んだり買い物したりしてるんだって。

 わたしもそのうち仁菜ちゃんと遊びに行きたいなとは思ってたけど……。


「でも、日宮先輩とは行けません。ごめんなさい!」

 ただでさえ山里先輩と噂になっているのに、日宮先輩と遊びになんて行ったらさらに噂になっちゃうよ。

 わたしは何とか断りの言葉を言いきって、振り切るように外へ出た。

 仁菜ちゃんを置いて行く形になっちゃったけれど、ごめんね! と心の中で謝っておく。


「おい! 待てよ!」

 なのに日宮先輩は上履きのまま追いかけてきた。

 そのまま昨日と同じように腕を掴まれてしまう。


「は、離して下さい!」

 強い力に、昨日の事を思い出して怖くなる。

 そんなわたしの思いを感じ取ったのか、ブレザーのポケットからまたコタちゃんが飛び出してきた。

 でも……。


「おっと、二度も同じ攻撃をくらうかよ」

 日宮先輩は得意げにそう言って片手でコタちゃんを掴んでしまった。