そうだよ、多分餌付けされてるリスとかウサギみたいに思われてるに決まってる。

 その証拠のように、山里先輩はわたしの頭にポンと手を乗せて軽く撫でた。


「可愛いよ。風雅のお気に入りじゃなかったらためらわないんだけどなぁ」

 何をためらわないのか分からなかったけれど、この撫で方はやっぱり小動物扱いしてるな、って判断する。


 風雅先輩とおんなじ撫で方だったから。

 風雅先輩が同じように撫でるときも、きっとわたしを小動物扱いしているときだから……。


 そう考えると、何故か少し寂しいような気持ちになった。

 ……何でだろう?


「まあ、とりあえず今日はそれ渡したかっただけだから」

 自分の感情を不思議に思っていると、山里先輩はわたしの頭から手を下ろしてそう告げる。

「あ、ありがとうございました」

「こちらこそ。美味しかったらまた買ってきてあげるから、感想教えてね。それじゃあ」

 そう言って去っていく山里先輩の背中を見つめていると、今まで注目しつつも黙って見守っていた周囲の同級生が押し寄せるように近くに来た。


「今の何!? どうして山里先輩があなたにお礼とかしてるの!?」

「可愛いとか言われてたよね!? まさか付き合ってるの!?」

 主に女子からの勢いがすごい。