「確かにサトリの霊力が強いってのは聞いたことないね」

「だよね!?」

 仁菜ちゃんの同意にわたしは力を得たように頷いた。


「あやかしの最上位ともいえる鬼の日宮先輩が間違えるとは思えないけど……でも流石になぁ……?」


 仁菜ちゃんはうんうん唸って何かつぶやいていたけれど、一番の問題はそこじゃないから気にせず相談を続ける。

「とにかくそういうことだから、明日以降学校で日宮先輩に会ったらどうすればいいと思う?」

 そう、何はともあれ一番どうにかしなきゃいけないのはそのことだ。


「あー……会ったら普通に『嫁』とか言われそうな雰囲気だもんね」

 困り笑顔でそう言った仁菜ちゃんは、「うーん」と少し考えて頷いた。

「うん、もう会わないように逃げ続けるしかないんじゃないかな?」

「やっぱりそれしかないのー?」

 これぞ! というような良い解決方法は思い浮かばず、わたしはうなだれるしかなかった。