***

「うーん……」

 一通り話を聞いた仁菜ちゃんは難しい顔をしてうなる。


「分かってはいるんだ。ただ、わたしが怖がっているだけだって」

 でもまた勘違いをしてしまうんじゃないかと思うと一歩が踏み出せないの、と告げる。


「一歩を踏み出すのが怖いとか言ってる時点でもう気持ちは決まってる気がするけれど……」

「え?」

 小さくつぶやかれてちゃんと聞こえなかった。

 でも聞き返しても仁菜ちゃんは「なんでもない」と首を振る。


「とにかく分かったよ。そういう状態ならあたしが色々言ってもどうしようもないだろうし。そのうち変化もあるでしょ」

 そう言ってこの話を終わらせた仁菜ちゃんは、「それで?」とうながしてくる。

「相談したいことはそれとはまた別なんでしょう? 昼休みに何があったの?」

 聞かれて思い出した。


 そうだよ!

 ある意味今はそっちの方が重要かもしれない。

 わたしは昼にあった日宮先輩とのやり取りを一気に話した。


「……嫁……?」

「そう! 第一嫁候補とか言われてわけわからないの! わたしの霊力が一番強いとか言い出すし……あり得ないでしょう!?」