「まあ、祠の近くが一番山の神の霊力を感じられるからな。木霊は山の神の霊力を直接吸収して生きてるって言っただろ?」

「ああ、そういえば」

 確かにそんなことを言っていたっけ。


 祠って、初めて風雅先輩と会ったあの池のあるところだよね?

 コタちゃんともあそこで会ったから、多分あってると思う。


「木霊も懐くくらいの霊力かぁ……やっぱり僕も気に入っちゃいそうだなぁ」

 そう言った山里先輩は無害そうなホワホワした笑みを浮かべた。

「瀬里さん、可愛いし優しいし。好きになっちゃうかも」

「へ!?」


 かっ可愛いって!?

 う、ううん。

 それは多分わたしが小さいからだよね。


 で、でも好きって……。

「えっと、それはどういう意味の?」

 確認するけれど、山里先輩に答えをもらえる前に手を引かれて風雅先輩の背中側に移動させられた。

 さっきから風雅先輩の行動の意味が分からなくて戸惑う。

 《感情の球》を見て少しでも何を考えているのか知りたいと思いつつ、むやみに見るわけには……とためらっていた。