「だから風雅以外に助けてもらえたのは初めてなんだよ。えっと、瀬里さんだっけ? キミの霊力は僕と相性がいいのかな? キミが近くにいると動けるようになってくるみたいだ」

「そういうのもあるんですか?」

「あるみたいだね。初めてだからよくは分からないけれど」

 そう言ってホワホワと和むような笑顔を浮かべる山里先輩に、わたしは協力を申し出る。


「なら、山里先輩が動けるようにお手伝いします。ここから動けないんじゃあ困りますよね? どうすればいいですか?」

「いいの? ありがとう、助かるよ。……額に手を当ててくれればいいから」

「えっと……こうですか?」


 山里先輩の綺麗な顔に触れるのはちょっと気が引けたけれど、協力を申し出た手前やらないわけにもいかない。

 ちょっと恥ずかしかったけれど、熱を測るときみたいに彼の額に手を当てた。


「ああ、楽になってくる……もうちょっと、このままで」

 そうして言われるままにしばらくそうしていた。

***

「那岐? ここにいたのか。っていうか、美沙都?」

 どれくらいたったのか。

 多分十分か十五分くらいだと思うけれど、まだ動けないのかな? と思いながら山里先輩の額に触れたままでいると風雅先輩が現れた。