「ああ、僕はちょっと他のあやかしと違ってね、親がいるわけじゃなく、山の神の霊力を受けて生まれたんだ」

 あやかしの親から生まれたわけじゃなくて、山の神の霊力を受けて神の使いとして生まれたんだって。

 里に来てからも人間と同じく親がいるのが当たり前な感じだったから、そんなあやかしもいるんだとすごく驚いた。


「だから山の神が眠っている今はもらえる霊力が少なくて……こうやってよく霊力切れをおこして倒れちゃうんだ」

「……それは、大変ですね」

 霊力切れっていうのがどんなものなのかはよく分からなかったけれど、こんな風によく倒れてしまうのは困ると思う。

 今だって、コタちゃんが見つけてくれなかったらしばらく倒れたままだっただろうから。


「いつもは風雅が助けてくれるんだけど……」

「風雅先輩、ですか?」

「ああ。風雅は山の神に直接霊力を与えられたあやかしだから、霊力が山の神のものと似ているんだ」

 だから倒れたら少し霊力を分けてもらうんだと話してくれる。


「へぇ……」

 そういうことも出来るんだ。

 風雅先輩って色んなことが出来るんだなぁ。って感心する。