手のひらにコタちゃんが乗ると、わたしはすぐに階段を駆け下りて逃げた。


 日宮先輩は追いかけては来なかったけれど、念を押すようにわたしに叫ぶ。

「美沙都! 忘れんなよ!? お前は俺の嫁だからな!」


 忘れたいですぅ~~~!

 半分泣きそうな気分になりながら、わたしは教室まで全力疾走した。

***

 お昼はやっぱり時間が少なくなって、お弁当を食べきるのが精いっぱいだった。

 日宮先輩のことを仁菜ちゃんに相談したかったけれど、そんな時間もなく午後の授業が始まってしまう。

 放課後にはちゃんと話そうと思っていたけれど、その前に掃除の時間があった。


 ゴミを焼却炉に捨てに行かなきゃならなかったわたしは、まさかまた別の意味で衝撃的な出会いをするとは思わなかった。