「とにかく出て行けよ。あんまり好き勝手するなら、俺らだって大人しくはしていられないぞ?」

「あん?」

 少し険悪な雰囲気になってハラハラしてくる。


 三人の《感情の球》のモヤが濃くなったと思ったら、日宮先輩の《感情の球》が赤くきらめいた。

「大人しくはしない? それはこっちのセリフだ。あんまりうるさいと、俺だって大人しくしていられるかわからねぇぞ?」

「な、なんだよ……」

 三人の《感情の球》のモヤが赤紫から青紫に近くなる。

 多分、怯えの色。


 日宮先輩は、右の手のひらを上に向けて不敵に笑った。

 次の瞬間、手のひらの上に火の玉が現れる。

 驚いたけれど、そういえば日宮先輩は火鬼って種類の鬼だって聞いた気がする。

 鬼にも種類があるんだ、くらいにしか思っていなかったけれど、火を扱うから火鬼って言うのかなって納得した。


「最強の鬼と言われる火鬼の力、少し見せてやろうか?」

「っ!?」

「べ、別に今すぐどうこうしようなんて言ってねぇだろ!?」

「そ、そうだよ。注意しただけじゃんか」

 明らかに怯えた様子になった三人は、「行こうぜ」と言って階段を駆け下りて行く。