クール天狗の溺愛♡事情

 後でちゃんと謝っておこうと思いながら、大好きな人と空を飛ぶ。

 初めてこうして風雅先輩と空を飛んだのは夕方だったっけ。

 今は昼前だから青空が広がっている。


「まったく……美紗都が可愛すぎるのも問題だな」

「えと、可愛すぎるってことはないかと……」

 不満げにつぶやく声に、照れながら否定する。

 でも、そうするとムッとした表情で「美紗都は可愛い」と断言された。

「うっ……はい」


 嬉しいけれど、今はただでさえ抱きついている状態で物凄くドキドキしている。

 あまり可愛いなんて言われたら心臓飛び出しちゃうよ……。


「美紗都は俺の大事な使命で、それ以上に大事な俺の彼女なんだからな?」

 ちゃんと分かってるのか? って念押しされる。

「わ、分かってますよ!?」

 こんなにドキドキしてるって、伝われば分かってもらえるのかな?

 なんて思うけれど、伝わったら伝わったで恥ずかしい。


 ドキドキしすぎて、恥ずかしすぎて、体温が上がってきた気がする。

 そんなわたしに、風雅先輩は少し意地悪な笑顔を見せた。


「じゃあ、これは俺の彼女っていう(あかし)な?」

「え?」

 何が? と思ったときには、額にやわらかいものが触れてチュッと音がした。