クール天狗の溺愛♡事情

「美沙都が俺のケガを治してくれたとき、お前の優しさを知った。その優しさに、俺はどうしようもなく心惹かれた」

「え? 煉先輩?」

「美沙都、俺はお前のことが本気で好きになった。……だから、正式にプロポーズさせてくれ」

 そして、右手の甲に煉先輩の唇が触れる。


「……え?」

 疑問の声を上げたけれど頭は真っ白。

 何とか頑張って理解しようとしているうちに、今度は山里先輩が煉先輩の隣にひざまずきわたしの左手を取る。


「は? 山里先輩?」

「日宮はずるいなぁ。先にそういうことサラッとやっちゃうなんて」

「あ、あの……?」

 山里先輩はいつものホワホワした癒されそうな笑顔。

 でも、行動が煉先輩と重なり過ぎていて……。


「瀬里さん……ううん、僕も美沙都さんって呼ばせてもらうね」

「え? あの……はい」

 戸惑いつつも、断る理由もなくて了承した。

 名前呼びよりもその先の話が気になったせいもある。


「美沙都さん、僕もあなたが好きです。初めて会ったときから優しくて可愛い君に心奪われた」

「え……あの……」

「君が風雅を好きなことは知っているけれど、やっぱり諦めきれないんだ。……ごめんね?」

 謝りつつ、煉先輩と同じようにわたしの左手の甲に唇を落とした。