クール天狗の溺愛♡事情

 里の長や重役の人達に目を向けると、重役の人達は驚いている感じだった。

 長は微笑ましいものを見るような優し気な顔をしていたから、お父さんがこういう神様だって知っていたのかもしれない。


 コタちゃんもポケットから出てきて人型になると、嬉しそうにくるくると回っていた。

「やったね! 穂高さまが起きたから僕ももっと自由に力を使えるよ!」

 そうしてわたしの所に戻って来て腰に抱きつく。

「これでもっと美沙都の役に立てるよ。僕頑張るからね!」

 嬉しそうなコタちゃんにわたしも嬉しくなってくる。


「今でも十分役に立ってくれてるよ。いつもありがとう、コタちゃん」

 そうしてふわふわの白い髪を撫でた。

 コタちゃんは人型になっても可愛いなぁ。


「……ちょっと、くっつきすぎじゃないか?」

 そう言ってコタちゃんの肩を押してわたしから引き離した風雅先輩は、ちょっと不機嫌そうだった。

 もしかして、嫉妬してくれたのかな?

 コタちゃんは子供なのに、と思わないでもなかったけれど、嫉妬されたことは何だかちょっと嬉しかった。



 そうしてにぎやかになった祠の地に、部外者の声が掛けられる。

「なんか騒がしくなってきたな?」

 現れたのは煉先輩だった。

 ケガはもう大丈夫なのかな?
 普通に歩けてるみたいだけれど。

 わたしの心配そうな視線に気づいた煉先輩は、フッと珍しく優しそうな笑みを浮かべた。