わたしがそれを見てギョッとしてもその涙は止まらない。

「お……」

「お?」

「お父さんって呼んでくれた!?」

「……」

 叫んだお父さんはバッとお母さんの方を見てまた叫ぶ。


「理子! 美沙都が僕のこと“お父さん”って呼んでくれたよ!?」

「そうね、事実父親なんだから当然でしょう?」

「でも、でも……言葉も“だーだー”とかしか言えなかったのに!」

「うん、穂高さん。ちょっと落ち着きましょう?」

「……」


 ビックリしたけれど、どうやら感動していただけみたい。

 号泣するお父さんからは、もう神様特有の神々しさとかは感じなかった。


 落ち着かせるためにお母さんがわたしからお父さんを離すと、風雅先輩と山里先輩が近づいて来る。

「……その、なんて言うか思っていたより親しみやすい神様だな?」

 風雅先輩も戸惑っているみたい。

 まあ、風雅先輩もお父さんのことは記憶に残っていないだろうし、当然かな?


「うーん、でも普段はちゃんと神様っぽかった気がするよ?」

 山里先輩は特殊な生まれ方をしたあやかしということもあって少しは覚えていたらしい。

 それでもちょっと戸惑いは見える。