「瀬里さん、良かった。無事みたいだね」

「心配かけてしまってすみません、山里先輩」

 びしょ濡れでも優しく微笑む山里先輩は水も滴るいい男状態だった。

 ちょっと色気もあるかもしれない。


「良かった、美沙都ちゃん」

 ホッとした様子の仁菜ちゃんは、笑顔でそう言った後「でも」と不満顔になる。

「あたしたちまでびしょ濡れにすることなかったんじゃないの?」

「あ……ご、ごめんね?」


 みんな熱くなってるみたいだから、雨でも降らせて冷やした方がいいだろって風雅先輩が言うから……。

 わたしもいい考えだって思っちゃったし……。


 だから、文句は甘んじて受け入れる。


「今度駅前のカフェでケーキおごってよ? それで許してあげる」

「分かった、カフェオレもつけるから!」

「いいの? やったぁ!」

 それだけで笑顔になってくれた仁菜ちゃんにホッコリする。



 こうして、最後は笑顔で落ち着いたのだった。