「これ、どうすれば……」

 つぶやいたわたしに、何かを思いついた風雅先輩がヒソッと耳打ちする。

 耳に息がかかった瞬間ドキッとしたけれど、その内容にクスッと笑ってしまう。


「わたしに出来るでしょうか?」

「美沙都なら、出来るよ」

 少しの不安を口にすると、力強い答えが返ってくる。


 大好きな、恋人になった風雅先輩の言葉にわたしは自信をつけた。


「はい。……じゃあコタちゃん、手伝ってね」

「キー!」

 わたしの言葉にコタちゃんはポケットから出てきて手のひらに乗る。

 流石にまだ一人で力を使えるとは思えなかったから。


 コタちゃんのフワフワな体がわたしの霊力を誘導するように温かくなる。

 こうすればいいんだよっていうイメージが流れ込んできているみたい。

 わたしはそのイメージ通り手のひらに霊力を集める。

 たくさん集まってコタちゃんが手のひらから下りると、わたしは両手を空に向かって横に広げた。


 すると黒い雲が校庭上空にだけ現れて、次の瞬間局地的な土砂降りになる。

 雲が晴れる頃には、戦争状態だった校庭がシンと静まり返っていた。


 わたしと風雅先輩はそんな校庭の朝礼台の上に降り立つ。

 それだけでとても注目を浴びた。