「日宮先輩。あなたに美沙都は渡しませんよ」

 ドキッ

 その言葉は、使命としてわたしを守るためのものなのか、それとも……。


「そうかよ。まあ、どっちにしろ今の俺はまともに動けねぇからな。美沙都のことは任せるさ」

「あなたに言われなくても」

 煉先輩の言葉にフンと鼻を鳴らした風雅先輩はいつものようにわたしを抱き上げる。


「ひゃっ」

 さっきから鳴りやまない心音がもっと駆け足になって、もう心臓が飛び出してしまいそうだった。


「みんなに無事な姿見せないとな。コタ、行くぞ」

「あ、待ってよー!」

 呼ばれたコタちゃんは毛玉の姿に戻りわたしの手の中に跳んでくる。


「キー!」

 準備OKとばかりにコタちゃんが鳴くと、風雅先輩は翼を広げ地を蹴った。