だからやっぱり告白しかないっていうのは分かっているんだけど……。


「だって、風雅先輩にドキドキしすぎて言うチャンスが無いんだもん!」

「どういうこと?」

 聞かれて、ポツリポツリと話した。


 ある登校時には少し遅くなったからと自然と手をつながれて引かれ。

 またある帰り道では近くを自転車が通って、危ないからって肩を抱かれた状態でそのまましばらく歩いたり。


「そういうちょっとした風雅先輩の行動にドキドキさせられっぱなしで告白どころじゃなくなるんだもん!」

「……」

 一通り話したら仁菜ちゃんは何故か無表情。


「仁菜ちゃん? 何か言ってよ」

「あー、うん。……何だろう、この砂糖口に突っ込まれたような感じ」

「はい?」

「なんか、告白どころかすでに付き合っててのろけ話聞かせられた気分」

「つ、付き合ってないよ!?」

「うん、だから早く告白して付き合って。じれったい通り越して何で付き合ってないの? って思っちゃうから」

 ジトッと湿り気を帯びたような目で言われて、わたしは「う、うん……」としか返せなかった。


 そんな風に仁菜ちゃんからもせっつかれて、何とか告白のチャンスを掴もうと決意した日の放課後。

 今まで会いにすら来なかった煉先輩が、教室にやってきたんだ。