煉先輩はその次の日も、そのまた次の日も姿を見なかった。

 山里先輩の話では学校には来ているみたいだけれど、わたしの前には現れない。


「どうしたんだろう? もしかして諦めてくれたのかな?」

 なんて期待を口にすると、それを聞いていた仁菜ちゃんに「あり得ないでしょ」と否定されてしまう。

「分かってるよ。ただちょっと希望を言ってみただけだもん」


「まあ、警戒しておくに越したことはないでしょ? 日宮先輩って強引だから……あとちょっと怖いし」

 と最後は小声で付け加える仁菜ちゃん。

「ちょっとどころじゃないと思うよ……」

 と苦笑いをしていると、彼女は話題を変えた。


「それより告白の方はどうなってるの? 毎日登下校一緒に行ってるんだからチャンスはあるでしよ?」

「うっ……」

 前まで登下校は基本仁菜ちゃんと行っていたんだけれど、ここ最近は「告白のチャンス邪魔しちゃ悪いからね」とか言われて別で行っている。


「その反応はしてないってことだよね?」

「……」

 風雅先輩の気持ちを確かめないとずっと思い悩んじゃう。

 《感情の球》を見るのも1つの手かも知れないけれど、むやみに見るものではないし読み間違える可能性もある。