わたしの疑問に、山里先輩はまた真面目な顔になる。

「もともと瀬里さんのことを狙ってたみたいだけど、昨日山の神の娘って知られただろう?」

「はい」

「神の娘なんて良質な高い霊力を持つ存在なんてなかなかいない。高い霊力の娘を嫁にって探してるあいつからしたら、これ以上ない上物ってことになる」

「……えっと、つまり?」

 この時点で嫌な予感はしたけれど、聞かないわけにもいかなかった。


「つまり、昨日よりもっと強引な手段を取る可能性があるってことだよ。だから気をつけて」

「っ……はい」

 山里先輩の真剣な様子に、わたしは少し緊張しながらうなずいた。


 だからいつも煉先輩が現れる放課後は特に警戒していたんだけれど……。

 風雅先輩が護衛としてついていてくれたからなのか、現れることすらなかった。

 結局、その日は煉先輩の姿を見ることはなく無事に家に帰る。


 むしろ家でお母さんに「告白はしたの?」と問い詰められた方が困った。

「してない」

 って答えたら。

「じゃあ明日ね」

 なんて言われて、もしかして告白するまで毎日言われるんだろうかと困り果てることになった。