万が一を考えて期待しすぎないようにって思ってるのに……。

「というわけで、あたしも早く告白することには賛成だよ。……まあ、いきなり今日中にとは言わないけれど」

「そう、だよね……」

 お母さんの意見を推奨する仁菜ちゃんに、わたしは少し困りながらも同意する。


 砕けたくはないけれど、それくらいの気持ちで勇気を出していかないと答えは得られないだろうし。


 そんな感じで話がひと段落したころ、「瀬里さん」と教室のドアの方からわたしを呼ぶ声が聞こえた。

 見ると、いつものように山里先輩が来ている。

 わたしは仁菜ちゃんに「ちょっと行ってくるね」と断ってから山里先輩の所へ行った。


「こんにちは、山里先輩。昨日は大丈夫でしたか?」

 霊力切れで倒れていたことを思い出して聞くと、「それはこっちのセリフ」と苦笑される。

「僕は意識はあったからしばらく休んでいれば動けるようになったよ。それよりも瀬里さんは大丈夫なの? 色々とショックだっただろう?」

 心配してくれたことに「ありがとうございます」と返して、少し考える。


「確かにショックですけど……お父さんが里にいるっぽいことは聞いていたし、昨日お母さんにちゃんと説明してもらったので……」

 だから、お父さんの存在自体はそこまで衝撃を受けていなかった。