「お母さんもね、お父さんには何度もアタックしたものよ!」

「え? えっと、お母さん?」

 何故かお母さんはお父さんとのなれそめをひたすら話し出した。

 そして最後にわたしの肩を両手でガシッと掴む。


「勘違いしたっていいじゃない。期待だってたくさんしていいの! それがどんなに苦しくても、好きって気持ちは変えられないんだから」

「っ!」

 そうだ、苦しくてもその気持ちだけは変わらない。

 わたしは風雅先輩が好き!


 改めて気持ちをハッキリさせたわたしに、お母さんは少しおどけて言った。

「自信を持ちなさい。あなたは山の神をオトした女の娘なのよ?」

「ふふっ……確かに」

 お母さんの口にした冗談のような事実に笑う。

 でも、本当にそうだね。

 神様と両想いになれたお母さんの娘だもん。
 もっと、自信持っちゃっていいのかも。


 そんな風に思い始めたわたしに、お母さんはニッコリと笑みを浮かべてとんでもないことを言った。


「じゃあ、その度胸を見せてね?」

「え?」

「風雅くんに告白しなさい、明日」

「あ、明日ぁ!?」

 わたしの驚きの声は、家じゅうに響いたのだった。