「コタちゃん、わたしを家まで運んでくれたのは誰?」

「ん? 風雅だよ?」

「風雅先輩が……またお世話になっちゃったな……」

 申し訳ないと思う反面、嬉しいとも思ってしまう。

 でも、続いたコタちゃんの言葉でそれが凍りついた。


「風雅は美沙都を守るために山の神が霊力を与えたんだ。だから風雅が美沙都を気にかけるのは当然だよ」

 だから美沙都が気にすることじゃないよ、と言ってコタちゃんは部屋を出て行く。


「え……?」

 今のは、どういうこと?

 わたしを守るために風雅先輩は山の神に霊力を与えられたって言った?

 ってことは、風雅先輩の使命ってわたしを守ること?


 ドクンドクンと、嫌な感じに鼓動が早まる。

 風雅先輩の使命はわたしより大事だと思っていた。

 でもそれは違っていて、その大事な使命こそがわたしだった?


 寂しいと思っていたことだから、それは嬉しいことのはずなのに……。


 でも、大事だと言っていた使命がわたしってことは……。

 わたしを守ってくれていたのは、風雅先輩の大事な使命だからってことになるんじゃ……。


「っ!」

 胸が詰まった。

 苦しい思いがじわじわと広がっていく。