「そうか、やっぱり美沙都の霊力は強くて質が良いってことだな?」

 当の本人であるわたしは訳が分からないのに、他の三人はどうしてか納得の表情。

 視線をコタちゃんに戻すと、ニコニコと可愛らしい笑みをわたしに向けてとんでもないことを言った。


「そうだよ! 美沙都は山の神の娘だ。だって、美沙都の霊力は穂高(ほだか)さまそっくりだもん!」

「穂高、さま?」

 その名前は聞き覚えがある。

 でも、コタちゃんの言いようだとその穂高さまは山の神ってことになるんだけど……。


 まさか、そんな……。


「え? 今のどういうこと?」
「あの子ってサトリじゃなかったの?」
「山の神の、娘!?」

 ざわざわと教室の窓から見下ろしていた人たちが騒ぎ出す。


「え……うそ、ちょっと待って……」

 自分のことのはずなのに、全くついていけない。

 それなのに風雅先輩達は納得の表情だし、見物している他の生徒たちの騒ぎはどんどん大きくなるばかり。


 わたしはそんなすべてについていけなくて、めまいがしたと思ったらそのまま意識を失った。

「美沙都!?」

 最後に、風雅先輩の心配する声だけが聞こえた。