鬼、天狗、妖狐、雪女。

 妖怪とかあやかしって呼ばれる存在。

 そんな存在が人間の目から隠れて住んでいる場所――北妖(ほくよう)の里。


 人間が近付かない様に山の神様が結界を張ってくれているんだって。

 そんな里に、サトリというあやかしの子孫であるわたしはお母さんと二人で引っ越してきた。

 数日前までは里の外――人間の街で暮らしていたんだけれど、中学入学と共にこの里に戻って来たの。

 戻って来たって言っても、里を出たのは一歳にもなってない赤ちゃんの頃だから里のことは全く記憶にないんだけどね。


 だから不安だったの。

 このあやかししかいない里にちゃんと馴染めるか、友達が出来るのか。

 でも、そんな不安も吹き飛ばすような素敵な出会いがあったんだ。