「なぁあれ、どう思う?」



寄りかかるようにして、3階校舎の窓から見つめた男の先に2人の影。

一見男女が仲睦まじく体育祭練習をしている風景にも見えるが。


「どう思う?」と振り返った片方は、その男を指しているのだろう。



「廉って確か周と幼なじみだろ?あれ、彼女?」



あぁ、違った。

こいつは女のほうを指していたらしい。



「…誰だあいつ」


「知らねぇの?ウチで有名ないじめられっ子だってさ」


「…いじめられっ子…」


「そう。その女と周だぜ?さいきん昼休みいつも居ないし、おかしいと思ったんだよな」



それは俺も思っていた。

いつも俺たちの溜まり場となっている空き教室に当たり前のように来ていた1人が珍しく席を外していることが増えて。


1度俺が聞いてみれば「暇つぶし」と答えた周。



「…どういうつもりだよ、あいつ」


「え?廉なんか知ってんの?」



椎名 廉(しいな れん)───俺は小学生のときから周と幼なじみ。