
- 作品番号
- 1693028
- 最終更新
- 2024/09/13
- 総文字数
- 185,913
- ページ数
- 420ページ
- ステータス
- 完結
- PV数
- 380,240
- いいね数
- 732
- ランクイン履歴
-
歴史・時代1位(2023/06/12)
まっくら。
なにも見えない檻のなか。
無知すぎた、1羽の鳥。
空の青さも、太陽の温かさも、
そよ風の心地よさも。
飛び立つことはおろか、
己がどんな姿をしているのかさえ、
見ることができない。
わたしは。
───徳川幕府に存在を消された子。
*
荒れ狂う情勢。
失われてゆく幕府の権力。
京の都にて結成された
治安維持組織・見廻組。
のちに幕末と呼ばれる時代の激浪に
飲み込まれてしまう、この町で。
“生きていい”と許された、この場所で。
少女は罪深いほど、無邪気に笑う。
*
・
ああ悔しいさ、俺だって。
だから懸けさせてくれよ、せめて。
俺の流す血が、涙が、いずれの未来を作るって。
だって。
敗者が居なければ、
勝敗は成り立たないだろう?
生き抜け、生き抜け。
叫んだっていい、泣いたっていい、
ただ、走ることだけはやめるな。
『友を裏切り、幕府をも敵に回して、
お前を道連れにまでした弱い男だ俺は。
なのに───…、
まだそんな顔で笑ってくれるのか』
(お前のそれは、俺を狂わせる)
奈落の果てで、笑った君を。
(愛しいと抱いた想いだけは、
だれにも否定などさせやしない)
※流血表現、残酷描写あり
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