「…まだ帰ってなかったんですか」


「財布、落とした」


「え、」



バイト終わりの南 涼夏と遭遇。

…って言っても、俺が入り口付近でソワソワ地面を見つめてるからなんだけど。


最悪…。
2万入ってたってのに。



「まぁ仕方ないか。これだけ探して無いってことは確実にスられてる」


「…少し待っててください」



そのまま再びコンビニへと戻ってゆく後輩。

暫くすると相変わらずの無表情で差し出してくる、見慣れた財布。



「落とし物でありました。…これじゃないですか?」



これだ。

確実に俺の財布。



「…ジュースでも奢ってあげようか」


「別に大丈夫です。なんか怖いんで」


「はいそれ。いじめられる理由1」



素直じゃなんだよね。

人の恩は受け取ったほうが絶対にいいのに、疑いにかかってさ。


まぁそれがいじめられっ子の特徴かもしれないけど。



「…どこまで一緒についてくる気なんですか」