「別にいいよ。サボったって平気」


「…受験生ですよね先輩」



成績に響いても知らない。

いつか責められたって他人のふりする。



「最悪、制服で参加すればいいでしょ」



あの日、体育祭の合同練習のときも思ったけど先輩は先生にも馴れ馴れしいっていうか。

巧みな話術で丸め込むっていうか。


なんかそのスキル、すっごくズルい。



「リレー、…先輩は何番走なんですか?」


「俺?アンカー」



まさかのわたしと同じだ。

でもわたしは先輩に半ば無理やり決めさせられたんだっけ…。


あの日からまだそこまで日にちは経ってないのに、こうしていつの間にか普通に話せるようになっていて。


嫌悪感も最初の頃より消えていた。



「アンカーっていいよね、目立つけど順位獲れなかったら他の奴等のせいに出来るから」


「…最低ですね」


「言うね」



最低だ、この人は。

いろいろ最低なのに良く分からない。


でもこれも先輩の一種のいじめだとしたならば。



「今度、俺と練習しようか。…ふたりで」











とある先輩の、歪んだ言葉。