それでも困ったことに身体はどうしてか離れない。

屋上、寝そべるようにぎゅっと回し回された腕。


離さないのは先輩か、それともわたしか。



「てかさ、宇佐美にいじめられてるのバレたでしょ?」


「…はい。なにかあったら俺を頼れって、言われました」


「だめ」



スッと顔を上げてみた。


先輩はじっとわたしを見つめて、もう1度「だめ」って繰り返す。



「頼れって言われることで自分を追い詰めるくらいなら、そんなのそもそも考えなくていいから。だから…頼るな」


「…はい」



その「頼るな」が、大ちゃんに対しての感情だけで言ってくれたのかなって。


ほらまた期待した。


そんなの、やっぱり違うから。

この人は過去の失敗談をわたしに託して成功に繋げようとしているだけ。



「でもどーしてもってなったら、…そこは宇佐美じゃなく俺でしょ普通に考えて」


「…だってそうしたら、」


「その先言ったら砕くよ」



期待なんか、しない。

そんなのしない。


そんなわたしは気づかない。











とある先輩の、歪んだ独占欲。