「お前はそいつを立花と重ねることで…ただ単に立花を忘れたくないだけなんだよ」



記憶から消したくないだけ。

思い出から消滅させたくないだけ。

忘れてゆくことに、自分だけが進んでゆくことに、何よりも怯えているだけ。


ほら、こんな俺は最低だ。



「ねぇ廉、」



このままだと俺が1位抜け。

相手が弱いとこんなにもつまらない。



「その上でも両方欲しいって言うのは───…駄目だと思う?」



きっと目を大きく見開いてる幼なじみ。


そんな反応を見たくないから、俺はゲームに没頭した。

もう何位になってもいいけど適当に操作して操作して、アイテムを相手に投げて。



「…駄目っつーか、狂ってるな」


「はははっ、俺もそう思うよ」



狂ってる。

本当に、狂ってる。


でも俺は我慢して頑張って耐えて平気なふりをして、「たくさん友達がいる」なんて母親に嘘ついて。

そうして毎日可哀想に生きてる後輩を。


欲しいとも思ってるわけで。



「これって恋だと思う?」


「まさか。そんな可愛い言葉じゃねぇだろ」


「…だよね」











とある先輩の、歪んだ執着。