「ブライアン、何をしている。

その女吸血鬼を早く斬れ!

そいつの外見に惑わされるな!」



マギーがたくさんのモンスターたちと戦いながら、ブライアンにそう叫んでいた。



そしてブライアンは、そのマギーの言葉でハッと我に返り、エッチな妄想の世界から、ようやく現実世界へと帰ってきた。



「オレは決めた!

たとえセクシー美女のかわい子ちゃんでも、オレは正義のためにお前を斬る!」



「ねぇ、本当に斬っちゃうの?

そんな乱暴は男は女の子にモテないわよ」



「色気でオレを惑わすな!

オレは最強の勇者、ブライアン。

かわい子ちゃんは大好きだけど、正義のためにお前を斬る!」



ブライアンはそう叫んで、心の中の葛藤にけりをつけると、電光石火のスピードで、ドロレスに向かって突っ込んでいった。



(かわい子ちゃんを斬るのは気が引ける……。

だから、せめて一撃でドロレスを葬ってやるのがオレの優しさだ。

ドロレス・ミラー、できるなら味方として出会いたかった)



ブライアンはドロレスとの間合いに入り、ためらいがちに高速の剣を振った。



でもそのとき、ブライアンの目の前で予想もしていなかった事態が起きて、ブライアンは息をのんだ。



ドロレスはブライアンの剣を素早い動きでかわし、ブライアンの視界からあっと言う間に消えたのだ。



ブライアンはドロレスのかわいらしさに惑わされて、ドロレスの実力を測り損ねていた。



女には優しく接するというブライアンの心に秘めた鉄則が、ブライアンの剣を鈍らせていた。



「私はあなたの後ろよ」



ドロレスの色っぽい声がブライアンの後ろから聞こえてきて、ブライアンはドキリとして息をのんだ。



そして次の瞬間、ブライアンはドロレスに後ろから抱きつかれ、背中にドロレスの大きな胸が当たっている感触にニヤけると、思わず脱力してしまい、無防備な状態になっていた。