「痛ぇな。

何で背中を叩くんだよ」



「うんとね……、何となくだよ。

そこに桜介がいたからかな」



「何だ、それ？

わかんねぇの」



愛理は桜介の顔を見ながら楽しそうに笑っていたが、桜介は苦笑いしかできなかった。



愛理はそんな桜介の顔をのぞき込み、またさっきと同じ質問を繰り返した。



「桜介、右と左どっちにする？」



「それじゃ、右かな」



「わかったよ。

それじゃ、右ね」



愛理はいつの間にか自然とコンビの主導権を握っていた。



そして愛理は楽しそうに笑いながら、別の道を行く時宗とカノンに話しかけた。



「時宗君、カノンちゃん、私たちは右の道を行くね。

行く道は違うけど、目的は一緒だよ。

私たちは舞ちゃんを絶対に救おうね」



「わかりました、愛理ちゃん。

カノンたちは一緒に頑張りましょう！」



そう言ったカノンの笑顔はかわいかった。



桜介はそんなカノンとコンビを組めなかったことを残念に思いながら、愛理と共に右の道を歩き始めた。