「時宗君の言う通りね。

私たちは少しでも早く目的地に着くために、二手に分かれて進むべきだわ」



「カノンもそう思います。

少しでも早く舞ちゃんを助けたいです！」



女性陣、二人の意見は時宗になびき、桜介が自信満々に言った意見はいつの間にかなかったものにされていた。



「ねぇ、桜介。

桜介も時宗君の意見に賛成だよね」



愛理は桜介に目を向けて、桜介の意見を求めた。



桜介は時宗の意見が正しいとわかっていたが、自分の意見が時宗に負けたことが悔しかった。



「わかったよ。

賛成だよ。

賛成すればいいんだろ」



「どうしてそんな言い方するの？

桜介って、本当に素直じゃないよね」



桜介は愛理のその言葉に拗ねていると、カノンが愛理に近づいてきて、 ささやくようにこう言った。



「仕方がないですよ、愛理ちゃん。

だって時宗君は桜介君のライバルです」



「桜介が時宗君のライバルねぇ……」



愛理は呆れ気味にそうつぶやくと、まだ拗ねて、そっぽを向いている桜介に目を向けた。



何で桜介はそんなことで、子供みたいに機嫌を悪くするのだろうと思いながら。