「春野の意見は正論に聞こえるが、その案を採用するのはギャンブルだ」



「何でだよ、時宗。

オレの最高に完璧で堅実な意見のどこにギャンブル要素があるんだよ」



「時間だ」



時宗はそう言うと、桜介に真っ直ぐ目を向けた。



「如月舞の大切な夢が放っている微かな光が、いつまでも輝き続けている保証はない。

もし行き止まりの道を選んで、その道が行き止まりだとしたら、オレたちは如月舞の夢を救えないかもしれないんだ」



時宗の話を聞いて桜介は、時間の大切さを自覚した。



いつもは無限にあるように思えていた時間も、今のこの状況下では少しもムダにできないくらいに限られている。



舞の夢の光りが消えるのは、一週間後かもしれないし、明日かもしれないし、今このときかもしれなかった。



そう思うと、時宗のシビアな意見が正解に思えてくる。



桜介がそんなことを考えているとき、時宗が話を続けた。



「オレたちは二手に分かれて進んでいこう。

その方が如月舞の大切な夢に早くたどり着けるはずなんだ」